世界一初恋

□本心、本気、本能
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「はぁー…」
小野寺のため息が編集部に響く。
俺もため息を吐きたいのだが、そういうわけにもいかない。
「律ちゃん、いつにも増して暗いけど、どしたの?」
「いえ、何でもないです。そういう木佐さんこそ携帯出なくていいんですか?」
「え?ああ、いいのいいの。急な用事じゃないだろうし」
木佐の携帯がさっきからひっきりなしに鳴っている。
「羽鳥、吉川先生の原稿はまだか?」
高野さんが編集部に入ってくるなり言った。
「すいません…昨日から反応がなくて…様子見てきます」
「明日までは大丈夫らしいから今日はそんまま直帰でいいぞ」
「分かりました」
本当は行きたくないのだが、仕事だからしょうがない。
実を言うと、一昨日ちょっとした喧嘩(?)をした。
俺に悪気は無かったんだが…。
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