pensee

□別れと再会
2ページ/2ページ




「この度の戦闘で命を落とした三代目火影…並びにその犠牲者を伴う為の葬儀を行う」


里の者が順番に花を捧げていく





ナルト「なんでだってばよ・・・何で火影のじいちゃんが死ななきゃならねーんだ・・・」

木葉丸「う・・・ぅう・・・ふぇっ・・・」


泣きじゃくる木葉丸を見て、ナルトもまた胸が一層熱くなった



ナルト「なんで・・・」







火影の死に納得が出来ないナルトは、拳を強く強く握りしめ

木葉丸の震える肩を、横にいたイルカが支えた。



イルカは、そんな木葉丸の姿を昔の自分に重ね・・・

昔、火影に言われた言葉を思い出し・・・



そして木葉丸を、そっと抱きしめた。







1人1人が、献花台の上に花を供えると同時に火影と過ごした日々を振り返っていた。


平和な日常の中で、自分たちのことをいつも笑顔で見守ってくれていた・・・

あの温かい笑顔は、もう、自分たちに微笑みかけてくれない・・・と



火影の写真を見つめ、言葉にならない想いを・・・ただひたすら巡らせていた。







ナルト「――イルカ先生…何で人は…人の為に命をかけたりするのかな」


そのナルトの問いに、イルカは三代目の写真を見つめながら答えた・・・


イルカ「人間が一人死ぬ・・・亡くなる…。過去や今の生活…そしてその未来と一緒にな。


    たくさんの人が任務や戦争で死んで行く…それも驚くほどあっさりと、簡単にだ。



    ――ハヤテだってその一人だよ…。死に行く者にも夢や目指す物はある・・・

    しかしそれと同じくらい大切な物があるんだ。


    互いに信頼し助け合う、産まれ落ちた時からずっと大切に想って来た人達との繋がり…

    そしてその繋がった糸は時を経るに従い太く強くなっていく…理屈じゃないのさ。


    その糸を持っちまった奴はそうしちまうんだ。大切だから…」




マナミ『・・・家族や友達、恋人・・・自分にとって大切な人達の為だからこそ出来る選択。』




イルカの言葉に続いたその声に、その場にいた誰もが振り返った。





全員の目に少し息が上がっているマナミの姿が映る





ナルト「あの人・・・会場に居た・・・!」



カカシ「マナミ・・・!?お前はまだ寝てなきゃ・・・」

紅「まさか・・・!あの状態で・・・歩くのもやっとのはずなのに!」



慌てて今にも駆けつけようとする上忍達に向かって、首を横に振った。




マナミは少しよろける足で、献花台へと向かっていった

その様子を見ている上忍達の動揺ぶりに、ナルトやサスケ達は疑問に感じた。



ナルト「イルカ先生?あの人は・・・誰なんだってばよ?」




戦争が終わったばかり・・・ということもあり、敵か味方かも分からない

見ず知らずの人物が、この会場に入って来たことに対して不安が隠せない一部の人間に





イルカ「あの人は・・・昨日火影様と一緒に大蛇丸と戦っていた人なんだ・・・」





その言葉にナルトを始め、イノやネジ達も驚きを隠せなかった。

その驚きの理由は自分たちと差ほど変わらない年の女の子だったからだ。





マナミ『・・・大切な人が死ぬ・・・残される人にとったら、これほど残酷なことはない・・・――けど
    
    その人が残してくれたものを・・・あたし達は無駄にしてはいけない・・・

    火影様から受け継いだ意思を、今度はあたし達が大切にしていかなきゃ・・・ね』





ナルトに・・・この場にいる人達に・・・そして自分に言い聞かせるように、マナミは言った。





ナルト「でも、死ぬのは辛いよ・・・」

マナミ『(おじーちゃんのこと・・・大好きだったんだね・・・)』


そんなナルトに気持ちが痛いほど分かるマナミは、足を止め・・・




マナミ『その気持ち・・・絶対忘れないでね』




と、ナルトに笑顔を向けた。




カカシ「ナルト、三代目だってただで死んだわけじゃないよ・・・

    ちゃんと俺達に大切なものを残してくれてる。
    (こうやって、マナミが戻ってきたのも・・・火影様の意思かも知れない・・・)
    ま、いずれお前にもわかるようになるさ」




ナルト「うん・・・それもなんとなくわかるってばよ」











その様子を見てホッとし、マナミは一輪の花を手に取り





そっと献花台に供える







――――火影様、あなたの意思は・・・こんなにもしっかり伝わっていますよ。



そう想いながら、火影の写真に微笑みかけた。







サクラ「あ・・・雨が・・・・」


降りしきる雨が止み、雲の隙間から光が降り注ぐ。







その光はマナミを、温かく・・・そして優しく





包み込んでるようだった



 
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ