shortstory

□永久の愛【拓勝】
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桜が舞う、木の下で
「もう…いってしまわれるのですね」
俺たちは最後を過ごしていた。
彼女と話すのは、これで最後。
「あぁ…元々俺はこの時代の人間じゃないから、な」
彼女はいまにでも泣きそうで。
俺がこの時代の人間だったら、彼女がこっちの時代の人間だったら…なんて、何度も何度も思った。
「…わかっていました。
決して……想いが届かないことも」
ぽつり、そう言った彼女はとても綺麗で。
なんで、いつも俺は遅いんだろう。
今更気付くなんて……な。
「…ごめん」
俺は一言そう言って、彼女から目をそらした。
これ以上言ってしまったら、彼女を離せなくなる。
でも、
最後に、やらせて。

「…これっ、受け取ってくださー……
え?」
カラン、と弁当箱が落ちる音がした。
「たっ、拓人さまっ…!!?///」
彼女は戸惑っている。…それもそうか。
俺はいま、彼女をー…お勝さんを抱きしめている。
このまま離れてしまうのは、いやだ。
せめて、貴女を感じさせてください。
「お勝さんっ……




 











好き、です。愛してます…」
「拓人さま…
だめですね…私は。貴方を笑顔で見送りたいのに、そんなことされたらっ……!」
「好きです…」
俺はそう言って、取り乱して泣く彼女に…
唇を重ねた。

これからもずっと忘れません。
貴女の優しさを。愛しさを。
これからもずっと、貴女を愛しています。

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