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□俺をみて
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只今、俺の可愛い可愛いお姫様と帰宅しております。
だけどそんな可愛い可愛いお姫様。
俺のことをみてくれません。
何か話しかけても…
「ふーん…」
素っ気ない。
ついには、
「ねーねー、俺の方もみてよー。」
……。
えっ?無視っすか⁈
いや、さすがの俺でも傷ついちゃうよ…うん。
ぎゅっ。
「ちょ、健人?」
音子の背中に抱きついてみる。
「ねー、健人。離してよー。」
「絶対に嫌だ。
iPhoneをおさめて俺をみてくれるまで絶対に離さない。」
こうなったら意地だ!
はぁー。
突然前から聞こえた溜め息。
俺が吐きたいくらいだよ。
何だか少し寂しくなって、音子の背中を再び強く抱き締めた。
「けーんーとっ‼ほら、もうやめるから、ね?ね?」
そう言いながら音子はiPhoneをカバンにしまう。
それをみてそっと君の背中から離れる。
離れていく温もりがなんだか寂しくて。
「俺のこと…ちゃんと見てよ。」
俯きながらそう呟いた。
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