便利屋の銀魂な話
□便利屋4
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「ぐっ…」
金槌の頭部を持ち柄の部分で攻撃していた離久の足元に横たわっているのは、茶封筒を持っている攘夷浪士だった。
「ふぅ」
離久が一息ついているとき、
「攘夷浪士全員の身柄確保できました」
縁側に座っていた近藤のもとへ山崎が現状を報告しにきた。
「よし!よくやった!!」
それは真撰組の隊員達に向けられた言葉だった。
「負傷者はすぐに病院へ連れてけ」
近藤から少し離れた場所でそう言った土方はタバコに火をつけようと、マヨネーズが入ってるような赤いキャップつきの透明な容器と似た形をしたライターをカチカチしている。
「土方さんも怪我してるじゃねぇですかィ。病院行きなせぇあとのことは二代目副長の俺に任せて」
「テメーはいつから副長になったんだ」
沖田と一悶着してから、土方は離久のもとへ近づいて行った。
離久は隊員からもらったらしい包帯を右手首に巻き付けている最中だった。
「何」
顔を上げることなく離久が訊ねる。
土方を突き放すような言い方だった。
「報酬、まだだろ。瓦の修理と、こいつら捕まえるの依頼した分」
「…いらん」
顔を上げた離久は仏頂面だった。
「なんで」
「なんでも」
離久は包帯の片方を口でくわえ、もう片方を左手で持ちながら同時に引っ張って結び目を作った。
「テメーは何かしらの罪悪感でそうしてやがるのか?」
土方の問いに、離久は口角をつりあげて笑った。
「ははっ。アッシがそんなことで報酬をチャラにするように見える?」
「あぁ」
「…そか。じゃあ一つ、頼まれてくれるかな?」
離久はニヤリと笑ったまま続けた。