小説部屋

□はなさない
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逃げたい。


逃げたいのに



体が動かない。







ルフィはドフラミンゴと2人っきりでいた。
叩けばすぐ壊れそうなその部屋には机とベッドだけ。

別に一緒にいたいからいるわけじゃない。

早く、仲間のもとへ…

隙をついてドアの方へ走り出すルフィ。
だが、それを許してはくれない。
ドアまであと一歩のところでベッドまで戻ってしまう。

「もう降参したらどうだ?麦わら」

フフフッとドフラミンゴは笑う。

「―っくしょ、ちくしょう!」

悔しさのあまり涙が出そうになる。

かれこれ1時間はこれをくりかえしている。
逃げたくても、体が動かなくなり、勝手にベッドへ戻ってしまう。

「フフフッ、逃げたいなら逃げてみろ。それができたらの話だかな」

さっきからドフラミンゴはベッドに座ったままだ。

「…お前の仕業だろっ!もうやめろ!」

「おれはずっとここに座ってるだけじゃねぇか」

「能力だろ!頼むからやめてくれ!」

ルフィはドフラミンゴに殴りかかろうとした。
だが、やはりあと一歩のところで体の自由がきかなくなる。

「これだけやってもまだ分からねぇか」

チッと舌打ちし、手をくいっと動かす。
するとルフィはベッドに寝転がった。

「お、おい何すんだ!」

ルフィは慌ててベッドから逃げようとする。

「―っ?!」

ドフラミンゴはもう遊ぶつもりはなく。
能力を解除しないため、ルフィは動けないままでいた。

「じゃあ、こう言ったらいいか?」

ドフラミンゴはルフィに顔を近付ける。

「次抵抗したら、仲間を全員殺す。」

「なっ…!?」

ルフィの顔に恐怖が浮かび始める。

「やっ、やめろ!やめてくれ!それだけは!」

「ならお前が犠牲になるんだな。そうしたら、仲間は殺さない」



―自分が犠牲になれば仲間を助けられる。


殺されるかもしれない。
でもそれで仲間が助かるなら…。
おれはあいつらの船長だ。


ルフィは震える声で言った。

「わ…分かった。から…」

「フフフッ、それでいいんだ。」

ドフラミンゴは能力を解除した。
ルフィは自由になった。

「あ…」

自由になった…わけじゃない。
これからどんな目にあわされるか。

ドフラミンゴはルフィに唇を押しあてた。

「…ん、ふっ?!」

突然の事だったので、ついドフラミンゴを押し返してしまった。

その途端


―ダンッ!


「―ぅぁぁあ!!」

あまりの痛さに涙がこぼれ落ちた。
ドフラミンゴは、ルフィの右足に刃物を突き立てていた。

「抵抗したら、…分かってるよな?」

「…ぅ、ぁあ!…グスッ」

こらえきれない涙が次々と出てくる。

「よし、いい子だ」

ドフラミンゴはルフィの頭を優しくなでた。


―もう、こいつはおれから逃げられない。





END.

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