マリオネットワルツ

□迷いの刃は
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運動場にカシンと竹刀がぶつかり合う乾いた音が響く。
潮江文次郎は相手の振る竹刀をすんでのところでかわしながら相手の右腕へ竹刀を打ち込む。
竹刀が相手の腕に当たる感覚と同時に
「あーあ」
という打ち合いの相手、七松小平太のぼやきも聞こえてくる。

時刻は昼前、そろそろ授業終了の合図である鐘の音が聞こえていい頃。
忍術学園の六年生は湿度の高い曇り空の下、い ろ は の三組合同で剣術の授業を受けていた。

合同授業の理由は二人組で行う打ち合い稽古があるためだった。
同じ組の忍たまが相手の打ち合い稽古は何度も行われているため、他の組の忍たまと稽古をする目的で たびたび合同授業があるのが通例だった。

文次郎はこの授業時間中に何人かと竹刀を交え、最後の相手の小平太との打ち合いも終える。
もう少しで勝つことができたのにと少し悔しそうな声に勝ちは勝ちだと返しながら文次郎は首筋の汗を装束の裾(すそ)で拭う。

「お、狭野橋は戸部先生に稽古をつけてもらうのか」

小平太の面白そうな声色につられ、文次郎はそちらへ目を向ける。
見ると確かに剣術師範の戸部新左ヱ門と昨日、忍術学園に来たばかりの転入生が竹刀を構え対峙(たいじ)していた。
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