Cruel world

□part13
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『あの家は、ずっと私を案内してくれていたのだから。

 私がここから出られるようにね』



その場にしゃがみ、彼女を観察した。

流れ出る血で溜りが出来る。



『・・・。』


無言で彼女を見つめた。



『まだ死なないの?我ながらしぶといね』



下半身を切って、

目玉を刳り出しても生きてるなんて。



『あ、もしかして、エレンのことが気がかりで、死ねないの?』



彼女は動揺した。

図星だ。



『私知ってる。ヴィオラとエレン。2人だけの家族』



あの黒髪の人。

すごく頼れそうな人。



『ヴィオラの記憶が、体に残ってる。

 優しそうな人だよね。』



入れ替わった時からずっと知ってる。

家族になったことも。



『わざわざ手紙までくれて、いい人だよね』



彼女に近づいた。

血の涙を流している。




『自分がいなくなったあとのこと、心配しているの?』




そんなこと、心配要らないのに。



『大丈夫。

 私が、ヴィオラの分まで愛してあげる』




今まで愛されなかった分。

愛せなかった分を。




『ヴィオラの分まで、愛されてあげる。

 だから・・・』


「ヴィオラ?」




後ろから声がした。

あの人の声。



立ち上がって振り返った。

そこには愛し愛される人。




『・・・エレン』


愛しい彼が、そこにいた。
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