Cruel world

□part13
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振り返った。そこにはミカサちゃんの姿。

地面を這い、少しずつ近づいてきている。




「ギ・・・がァ・・・ぁゲ・・・ッ・・・ッ」


ずるずると体を引きずり、目の前に来た。

何もない目玉がこちらを見る。


私はクローゼットで見つけたナイフを構えた。


「ア・・・ガ・・・っ」










『しつこいな』



グチャッ!!・・・



ナイフで顔を刺した。


一歩下がった彼女。

顔から赤黒い血が流れる。





『いつまで追いかけてくるの?

 もうすぐ その体は死んじゃうのに』


「・・・ガぁッ・・・ぅう"・・・・・・うぎェ・・・」



彼女から少し離れて背を向けた。



『"かえして"?やだよ。

 この体、どこも痛くないから』



振り返り、彼女に向かってゆっくり歩き、近づいた。

雨が地面を濡らしていく。




『一度は、私にくれた体でしょ。

 どうして 返す必要があるの?』



彼女の前に立つ。

何度も瞬きをする彼女の顔は醜い。



『ねえ?』



しゃがみ彼女と視線を合わせる。

目からも血が流れ出ていた。







『ヴィオラ』


名前を呼び、彼女を見た。

醜く、汚い彼女。



すっ、と立ち上がり、後ろを向き歩いた。


雨が顔を濡らす。

血は落なかった。




『私のことが 可哀想だったんでしょ。

 病気で ベットから動けなかった私のこと』



思い出す。

あの忌々しい日常を。




『だから、私の魔法で

 2人の体を交換したんだよね』



彼女が何かを言った。

声にならない、掠れた声で。



『1日だけ?

 ・・・ふふっ、そんな約束したかなあ』




振り返り、彼女を見つめる。

瞬きをし、何も話せない彼女。




『私の力で、私のこと閉じ込めたのには驚いた。

 でも・・・無駄だった』




無駄だった?と聞きたそうな顔をしている。

私は優越感に溺れながら言った。




『だって、私の家だよ?

 私が殺されるわけがない』



怖い。

そう思っていたのは全部嘘。

最初から分かっていたこと。


全て私の思惑通り。
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