短編小説U

□一筋の光
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そっとシュナイゼルは安心したように眠っているルルーシュの頬を優しく撫でた。安心して自分の傍で眠ってくれる事がこんなに嬉しい事だとはこの子に出会うまでは知らなかった。
だが、それ以上にルルーシュの顔色の悪さに心配になってしまう。余分な肉がついていない手に刺さっている点滴がとても痛々しい。
ここまでルルーシュを追い詰めたあの愚かな慈愛の姫とその騎士が憎くて仕方がないが、それ以上にその愚かさに笑みが浮かんでしまう。あの愚かな2人のおかげでルルーシュは完全に自分のものになった。だが、ルルーシュの心を傷つけた事は絶対に許される事ではない。
「ルルーシュゆっくり休みなさい。ここにはお前を傷つけるものは誰もいないのだから」
そう、なにがあっても守る。それだけの力を自分は手に入れたのだから。ここはコーネリアが用意したシュナイゼルの来賓室だ。本当は今直ぐにでも、ルルーシュを傷つけた原因のいる場所を離れてしまいたいが、政務の関係上そうする訳にも行かない。
ここには誰も近づけないように言ってある。例え総督のコーネリアだとしても、宰相である自分の下には決して来る事ができない。そう、副総督であるユーフェミアも、ルルーシュの事を愚かな騎士から聞いたとしても、ここには来る事は決してできない。もちろん二度と会わせるつもりもないが。
シュナイゼルは頬を撫でていた手を離すと、ルルーシュの顔から目を離さずに口を開いた。
「そろそろ出て来たらどうだい、灰色の魔女」
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