夢想

□誰も知らない彼がいた。
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すぱんっと障子を開け放ち、部屋の中に風を入れる。

心地よい風が政宗の頬を撫ぜる。


振り返ると、部屋の少し隅の方で遠慮がちにちょこんと座る小太郎がいた。
政宗が自分を見ていることに気付いた小太郎は、小さく首を傾げて頬笑む。


そんな小太郎を見るたび、政宗はこの男が本当にあの伝説の風魔なのかと疑ってしまう。
しかし、それを愛しいと思ってしまう自分もまたある意味で手遅れなのだと、心の中で自嘲の笑みを浮かべた。


「兜くらいとれよ、小太郎。」


笑いながらそう言って

政宗はゆっくり近づくと、手を伸ばし、小太郎の兜を外す。
小太郎はされるがままだ。


しかし

「ぅおッ?!」

兜がとられた瞬間
小太郎は素早く政宗の腕を引き、その体を腕の中ににおさめた。


ガシャッという音をたて、転がる兜。


「…小太郎?」
「………。」

「今日はどうした?姿現すなんて…まさか、幸村の挑発にのった訳じゃねぇだろ?」



まさむね


政宗の問いに
小太郎は小さく、低く、囁く。






俺だって、嫉妬くらいするさ。


「…つまり……幸村と俺がずっと話してるのが嫌だった、と?」

こくり、と頷く小太郎。


どうやら、小太郎の目にはあのやり取りが楽しそうに見えたらしい。
一体いつから見ていたのやら。



それに、と小太郎は言葉を続ける。



…挑発にのせられたのは、俺じゃない。


そう言って
何処から取り出したのか、何かの包みを政宗の手に置く。

なかなか、のせられ易い奴だった


政宗はその包みに見覚えがあった。


「これは…幸村の持っていた手土産?……っはは。」




嫉妬させられたぶん
やられたら、やりかえすってか。
その包みを見た政宗は、自分の見ていない時に二人の間に何があったのかを瞬時に理解していた。

「あいつ、すぐに挑発に乗るだろ?…というか…お前、意外に子どもっぽい事するんだな。負けず嫌いっていうか…。」


すると小太郎は少し不安げに政宗の顔を覗き込む。

…そういうのは、嫌いか?


かたどられた言葉に



「…いや、」


政宗は笑みを返した。








「そういうアンタも、嫌いじゃねぇよ。」


END


なんぞこれ\(^O^)/←

文章崩壊。




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