欠月

□デキてる二人♀♂
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それは、極一部の人間しか知らない事実。

屑桐と牛尾の所属する
野球部で密かに噂になっている事。

それは――――…。





 〜♀デキてる二人♂〜




それは、天気が良いとてものどかな屋上で、
屑桐が部活のチームメイトとお弁当を食べている時の出来事だった。
 

「…‥ブハッ!な、なんだ よそれ…‥っ!!」


チームメイトから聞かされた妙な噂に、屑桐は飲んでいた牛乳を盛大に噴き出した。


「あ〜?ウチの部活じゃ、 けっこー有名だぜ…?
 屑桐無涯と牛尾御門は
 実はデキてるって。」


あまりにも平然に言ってのけるチームメイトに脱力しつつ、屑桐は言い返す。


「何故オレが、あんな奴
 と噂されるんだ!!
 大体、奴もオレもれっき とした男だろうが!!」


もっともな事を主張してチームメイトの返答を待つが、返ってきた答えは、再び屑桐を沈めるのに十分なものだった。


「だって、お前ら仲イイ
 じゃん。牛尾の奴は、
 どう見てもお前に懐いて るし…。お前もお前で、 なんだかんだと世話妬い てんし?イイんじゃね? 言いたい奴には、言わし ておけば。」


所詮は他人事といった感じで喋られてしまい、
屑桐は深い深い溜め息をついた。

自分が牛尾御門と知り合ってから、早3ヵ月。
ちょっとした、きっかけで奴に目を付けられてしまい追い回される日々。

しかも、クラスが同じで
部活も一緒。とどめに席まで奴の隣とは…‥!
ただでさえ奴と居る事に、苛立ちを覚えているというのに。
この様な噂までされては、正直たまらない。
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