欠月
□プライベート・レッスン☆
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「…出来たぞ。これで、
あってるか? 」
「…‥そうそう、ここは
現在進行形だからingを 使って…‥。」
明日の部活がかかっている為か、屑桐はいつもより
熱心に勉強に取り組んだ。牛尾の方も、屑桐に真剣に英語を教える。
「…ん。よし!やれば出来 るじゃないか、屑桐君! 」
牛尾の作った追試対策用の例題を、屑桐は時間をかけつつもなんとか全てクリアした。
「あとは、明日の為に
家できちんと予習を
しておけば、きっと
大丈夫だよ!!」
苦手な英語をなんとかクリアして、ぐったりとしている屑桐。
そんな屑桐に牛尾は明るく応援の言葉を贈る。
「でも、屑桐君がやる気
になれば出来る人で
良かったよ。明日は
頑張ってね!!絶対、
再追試になんてなっちゃ だめだよ!!!」
「なんか、オレより必死 になってねーか?
オマエ…‥。」
「当然だよ!だって明日
の追試は絶対に落とす
訳にはいかないからね! 再追試になったら、
君と一緒に部活が出来な いじゃないか。」
無邪気な顔をしてニッコリと笑いかける牛尾に、屑桐は『この野球バカ。』と胸の内でひっそりと呟く。
「…‥世話になったな。」
「ううん。気にしないで。 …じつは、屑桐君といつ もより長く一緒にいれて ‥ちょっと、嬉しかった から。」
「………‥。」
少し照れた様に笑った牛尾に、屑桐はゆっくりと顔を近付けていく。そして互いに見つめあったままで、軽い口付けをした。
「…‥ん、‥屑桐、君?」
「…世話になったお返しに 、オレもオマエに特訓
してやる。」
「…‥えっ?」
「…オマエ、これが苦手
だろう…‥?」
「――…!だ、ダメだよ! そんな特訓いらない!! 」
『これ』がキスの事だと分かった牛尾は顔を真っ赤にしながら、それを拒む。
屑桐の言葉に核心をつかれたようにドキッとした。
…そう、実のところ牛尾は少しばかりキスが苦手だった。
軽く触れられる程度ならば、問題ない。というよりも、好きな方だ。キスなんて米国では挨拶の習慣になっている行為であるし、とくに抵抗もなかった。
しかし、屑桐にされる少しばかり大人なキスは牛尾が今までに体験したことのない感覚を作り出してしまい…深いキスにまだ慣れていない牛尾にその行為は、ちょっぴり刺激がありすぎるのだった。
「そ‥それに、誰か来るか もしれな‥…ッ!?」
拒む唇を、とつぜん屑桐に塞がれた。
先程の様に、最初は軽く、触れるだけの口付け。
重ねられた屑桐のやわらかい唇に、いつもの癖で牛尾はついつい目を閉じてしまう。
下唇を屑桐の唇で挟まれ、ぺろりと舐められる。
次は、上唇を挟まれて、軽く舌で吸われる。
いつもと少し違ったキス。(まるで、唇でじゃれあっているみたいだ…。)
そんな事を思いつつ、ぼーっとしながら屑桐にされるがままになっていると、
急に屑桐の舌が牛尾の中に潜り込んできた。