イブの夜は更けて(R18)
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ようやく離婚届けを手に入れた。浮気の証拠をでっち上げてから4日目のことだ。
思った以上に計画がスムーズにいき、氏島勇司は悦に入って離婚届けを眺めた。
それもこれもあの便利屋のおかげだ。
ドアに刺さったままの鍵を見たときは少々胸が痛んだが、いつまでもごねる彼女も悪いのだ。
それにこのマンションは俺が買ったもので、――そりゃあ、少しは捺希に支払いを手伝ってもらったこともあるが――もちろん名義は自身になっている。その持ち主が自分の部屋の錠を替えたところで、法的にも何の問題もないはずだ。
それをあの生意気な女社長は、男3人を連れて乗り込んできて、『人でなし』と罵りやがった。まるで自分の家のように歩き回り、捺希の物を一切がっさい歯ブラシ1本まで持っていった。
あの年配の男が鷹の目のように目を光らせて見張っていなければ、いちいち文句をつけてやったところだ。
だがこれで何の心配もなく香織を呼べる。これまでは浮気の証拠を残す恐れがあったので部屋に入れたことはなかったが、これからは一緒に住めるのだ。
夏には子どもも産まれるし、なるべく早く籍を入れよう。
勇司の心は新しい計画ではちきれそうだった。