イブの夜は更けて(R18)
□再会
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「おはよう」
五十嵐に声をかけられ、内心、捺希は飛び上がった。車で迎えに来ると思って、歩行者には全く注意を払っていなかったからだ。
「おはようございます」彼の存在にまだ慣れなくて、他人行儀に挨拶を返す。
「こっちです」五十嵐が優しく促した。
通勤する人々の間を縫いながら、斜め前を歩く彼につい目がいった。
すっくと伸びた体躯。広い肩を覆うTシャツにブルージーンズ。夏にありがちな格好なのに、誰よりも目立っている。彼の放つパワーと雰囲気が人の目を引くのだろう。
五十嵐は歩道に乗り上げて停まっているピックアップトラックの横に来ると、助手席側の鍵を開けて捺希を振り返った。
「どうぞ」ドアを開けて、待っている。
彼らしい車だ。仕事に忠実で理にかなっている。
捺希はタイトなスカートに苦労しながら、トラックに乗り込んだ。
彼の手が背中を支えていた。
前を回って、五十嵐が運転席に乗り込んできた。
「さあ、ナビゲートを頼みますよ」目を輝かせ、やる気満々で彼が言った。