short story
□見える?キラキラ
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僕が好きな人の周りはいつもキラキラで輝いている。
それが眩しくて、見つめていたいのについ目をそらしてしまうんだ。
「まぶしっ」
「あぁ、夕日がすごいな。カーテン閉めとこう」
つぶやいた一言に優也が自分の後ろにある一番大きな窓のカーテンを引いた。
ーーそういう意味じゃないんだけどなぁ……
ここは生徒会室。
今は会長の優也と副会長である俺しかいない。
「優也、まだ帰んないの?」
俺は今日中に仕上げて明日には提出しなければならない書類があってここにいるが、優也は来たかと思えば特に仕事をする様子もなくただ外を眺めたりしていた。
「うん、まだする事があるからね」
「……?さっきから何もやってないじゃん」
そういった俺に、とろけるくらいの笑みを浮かべて「いいから智は早くそれ終わらせちゃいなよ」とはぐらかした。
さっきの笑みに、俺の心は分かりやすく心拍数をあげて頭の中を真っ白にさせた。
「心臓に悪い……」
「なにか言ったか?」
「なぁにも!」
一時間たってようやく仕上がった書類を封筒にしまい分からなくならないように引き出しにしまう。
流石にずっとパソコンの画面とにらめっこしていたら目や肩に疲れを感じ思い切り背伸びをする。
「お疲れ様、終わったみたいだね?」
優しい笑顔で目の前にココアを差し出してきた優也をみると、またキラキラとした眩しさに思わず瞬く。
「眩しくてシパシパする……」
「すっとパソコンの画面見てたらそうなるよね」
入れてもらったココアを飲みながら、噛み合わない感情と胸に貯まる甘さになんだか心が重くなった。
「さて、もう暗いし帰ろうか」
「え?優也する事があるんじゃなかったの?」
退室の準備をし始めた優也に、一時間前のやりとりを思い出した。
不思議そうな表情になった俺に優也はまた、あのとろけるような笑みを浮かべて言った。
「智が遅くまで残ることがわかってたから……最近この辺物騒だし送って帰ろうと思ってね」
'"それが俺の用事"とまた微笑んだ。
一気に頬に熱が溜まっていくのが分かって、俯いてうなづく。
差し出されたキラキラとした君の手をとって、その温もりにフワフワする……
直視もしていないのにキラキラは収まらなかった。その眩しさにクラクラしているのを悟られないように、俺は大人しく手を引かれたまま寄り添う。
キラキラ
ふわふわ
クラクラ……
繋いだ手の温もりに、自分までキラキラしてる気がした。
【END】
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