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□姫、地球を侵略すっ!
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ここは港町『グレイグ』。
世界に優秀な剣士や魔導士を送ったりしている、世界有数の『魔王都』である。


その城には常に最高峰の剣士、魔導士がおり。
国王の命により魔族と戦闘を繰り広げる事もしばしば。


階級や身分、庶民や貴族などの差別を嫌い。
王都立魔法学校では世界全国、どの様な人物であっても受け入れる様な懐の深い国である…と言うのが、国外のモノから見た良い面。


……この魔王都、グレイグに産まれたそれはそれは綺麗な姫様が居る。


彼女は国王妃であるミシュラン様の美貌を忠実に受け継ぎ。
父であり国王でもあるヴァインス様の野性的な瞳と髪を受け継いだ…正真正銘、この魔王都。
いや、この世界にも彼女にかなう相手は居ないだろう実力を身につけ、今日この日。
とうとう18歳と言う、世間に認められし日がやって来てしまった。


城内では剣士であっても魔導士であっても彼女には指一本毛一本も敵う相手は居ない。
魔法学校では、過去最高の成績で卒業。
現在までは国の為、父の為、母の為、兄の為を思い国に留まっていた彼女だが。
今日と言う日、俗に言う『成人式』で、彼女は国が着っくりかえる様な発言を口にした。


「えー…わたくし、エミュリゼ・トル・グレイグは。
今日を限りに、この国を出ようと思っています。」


国王と言う地位を持った彼女の父は、よその国の王や領主とは一味も二味も違っている。


先ず城を持たず。言わば裏の村長的役割である。
なので住人は親しみやすく気さくな彼に集まり、自分達も一緒に国を豊かにしていくと言う志の元。
集まっている様な場所である。


しかしそれがまずかった。
よその国では貴族や庶民といった、言わば差別的な言葉もあれば、感覚も違ってくる事だろう。
しかし初代の国王はそれすらも凌駕する商才、カリスマ性を駆使して子の様な平和で平等な国を作って来た。


それが彼女、エミュリゼの平民感覚と貴族感覚を無茶苦茶にした、良く世間を知らない子。
そう言う風な出来あいになってしまった概要である。


「……エミュー?お母さんの聞き間違いかしら。
わたくしには今『今日を限りにここを出て行く』…と聞こえたのですが…?」


にこりと見惚れる様な笑みを浮かべたのは国王妃であるミシュランである。
今日は民間の者達との食事会との事で、軽い化粧と素敵な淡い赤色のドレスでの生い立ちだ。


その素敵な眉の形を歪めて、娘であるエミュリゼの方を振り返ると。
その本人であるエミュリゼはと言うと「聞こえてるんじゃない」と何とも危機感の無い返事をした。
 

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