main

□惹かれ合う
1ページ/2ページ


__キーンコーン...



都会に建つ一つの学校で、ごく普通のチャイムが鳴り響いた。

校舎が通常より大きいからか、学校の柵を超え、辺りまでその音は聞こえる。


昼休みの開始をしらせるチャイムであった。



そしてそんな学校の一角、
ここは職員室だ。

偶然かなんなのか、教員には顔立ちの整った者が多いように見える。

というか、かなりの個性派揃いである。


中でも、特に整った顔をした赤髪の男が、同じく端麗な顔をした金髪の女性に声を掛けた。



「おい、デイダラ。」

「うん?」



デイダラ、と呼ばれた女性は、その長い髪を揺らして振り返った。



「何だい、サソリの旦那」

「お前、今日もなのか」

「あぁ、うん。ていうかほぼ毎日そうだってば」



内容の分かりづらい会話だが、サソリと呼ばれた男はデイダラの返答を聞いて舌打ちをした。

デイダラは苦笑いをする。



「つーことは、今日もそろそろか」

「そうだな...うん。」



二人は同時に職員室の扉を見やった。


するとだんだん、走ってくるような音が近づいてくる。

サソリはますます不機嫌そうな顔をした。






そしてすぐに
バンッ、と、職員室の扉が開かれ、




「デイダラちゃん!!!!」

「だから先生つけろっつってんだろーが、うん!」



入ってきたのは銀色の髪をオールバックにし、乱れた制服の着方をした一人の男子生徒だった。


彼は職員室の中にデイダラの姿を見つけると、その男らしく整った顔をぱぁっと子供のように輝かせて近づく。

横にサソリの存在を確認して一瞬顔を歪めたが、気にせずにデイダラのところまで行くと、その手を掴んだ。



「デイダラちゃん、飯食いいこーぜ!」

「わかったわかった、離せって。」



連れ去られ際にデイダラはなんとか弁当を掴んだ。

彼はなんとしてでも、早くデイダラをここから出したいように見える。



「今日も屋上でいいよな?」

「うん」



半ば強制的にデイダラに了承を得ると、彼はデイダラの腕を引いて一目散に駆け出した。




















「よっしゃあ飯だ飯!!」

「飯くらいで騒ぐなよ、ガキじゃねえんだから。」



かくいうデイダラも腹を空かせているらしく、言葉は建前のようで、すぐに弁当を開き始めた。



「いや、飯っつーか...」



彼はというと、飯だ飯だと騒いでいた割におとなしく、何か口ごもった様子だった。

何か言いたいのは一目瞭然で、デイダラは何だ、と聞いたが、彼は結局何も言わない。

言いたくないことなのか、と思い、デイダラはそれで問い詰めるのはやめた。




そのまま、しばらくの間無言で弁当を食べ続けた。



デイダラはおとなしく何もせずただ黙々と弁当を食している。

が、彼は食べながらもずっと、ちらちらとデイダラの様子を伺っていた。

うざったいほどにである。



初めのうちは無視を決め込んでいたデイダラだったが、彼女はもともとどちらかというと短気である。

しびれを切らして彼に向かって口を開いた。



「なんだよ、飛段。うん」

「え?いやぁ、デイダラちゃんって可愛いなあと思って」

「はっ、冗談言うなよ。」



デイダラは少し顔をうつむかせて、そう言った。

相手にしないデイダラに、飛段と呼ばれた彼はむっとした表情を見せる。


そして、つい咄嗟に、といったふうに、デイダラの手首を掴んで叫んでいた。



「だーもう、だから!俺が言ってんのは、冗談じゃなくて!!」

「じゃあなんだよ、うん」

「だから、冗談じゃないってことは...!!!」




そこまで言って飛段は言葉を止めた。

そしてハッとしたように正面を見る。








顔を上げたデイダラの顔は赤く染まっていた。



「...っ!!」

「オイラ、っ次の授業の支度、あるから...!!」



そう言って食べかけの弁当を掴むと、デイダラはものすごいスピードで屋上をあとにした。






どうやら彼女は男性へ対する免疫が少しも無いようで。

飛段はきっとそんなことはないのだろうが、


「......」


あのあとしばらくは赤い顔でいたところを見ると、



それほど彼女にぞっこんなのだろう。















飛段は屋上で一人、先ほどのデイダラの反応を思い出しては顔を赤くしていた。




_fin?_

→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ