恋する動詞

□*諦める*
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あの後、結局キドと二人で買い物に行った

何があったか聞かれて、あったこと全てを話すと

キドは完全にカノに呆れてるのを見て
ざまあみろなんて思ったことは内緒だ

それに、キドがカノを説教してくれるみたいなので
私はボコボコに殺っちゃって下さい!
とお願いしておいた

ふっ、そのボコボコになった姿を見て笑ってやる

勿論鼻で

アジトに帰るとキドは私に荷物を渡すと

行ってくる

それだけ残して奴の部屋に向かった

ニヤリと思わず口元を緩めてしまう

『〜♪』

私は食材を冷蔵庫に入れる作業を、鼻歌を歌いながらやっていれば

「なんかご機嫌っすね?」

『ぎゃああああ!』

後ろからヒョコッと私の顔を覗き込むように現れたセトは
そんなに驚かなくても…!と爆笑している

イラついたので頭を叩いておこう

それにも関わらずまだ笑い続けるセトに
私は彼の無駄に整った顔を崩壊させてやろうかとも思ったが
流石にそれは可哀想なので頬をびよーんと横に引っ張る

「いひゃっいひゃいいひゃい!」

強く引っ張れば私の手を掴んで頬から離そうとする

『もう笑わない?』

その言葉にブンブンと頭を振ったので
仕方なく離してあげれば

「〜っ!名無しさんのバカ!」

バカと言われました

赤くなった頬を手で擦りながら涙目で睨まれる
その姿をふんっと鼻で笑えば
キッと勢いよく睨み付けられたかと思えば

ムニッ『いひゃひゃひゃ!』

凄い勢いで頬を引っ張ってきた

凄かった。手が見えなかったぞ
なんて速さだクソッ!

「仕返しっすよ〜。ははははっ!」

『いーひゃーい〜!』

私の崩れた顔を見てなのか、笑い出すセトに訴えるが無視
ははははっと笑い続けるこの男はなんて失礼なんだ

私の顔見て笑うなよ。

イケメンはズルい。酷いよ。こんなの…!
こいつの頬引っ張ってもイケメンだったなんて…!

「………お前ら何してんだ」

「…………………」
『…………………』

ギャーギャーと騒いでいると
一気にその冷めた一声で静まる

恐る恐る振り返れば引き気味なキドとカノ

二人を見てセトは手をバッと離すと、
名無しさんが…、と言い訳を始めた

主に私のせいにして

ヒリヒリする頬を抑えながら
セトのせいですぅー。と言いながら
放置していた食材を再びしまう作業をする

いや、名無しさんのせいっすよー。
と言いながらセトも何故か食材をしまい始める

後ろで冷たい視線を感じるが知らない

隣に立っているセトに近付き
コソコソ喋りかける

『セ、セトどうする…!?』

「やばいっすよ。完全にアホ扱いされてるって」

そう言ったセトは人参を持つ手が震えている

…私も茄子を持つ手が震えているが

『騒ぎすぎた…ね』

「そうっす…ね」

は、はははは…と渇いた笑みを二人で浮かべる

その瞬間後ろでわざとらしい溜め息

バッと振り返れば呆れた目で此方に来ると

「…飯にするからセト、手伝え」

「は、はい!」

手伝えと言われたセトは人参を手に喜んでいた

人参いい加減離しなさい
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