恋する動詞

□*懐かしむ*
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「名無しさんー!」ギュッ『ぐぇっ』

叫び声の様なものと一緒に飛んで来たのは

『カノ…』

ふわふわした髪をはねさせている奴

「も、もっと女の子らしい反応し…な…はははっ!」

この猫目の男はこれでも私の彼氏
とにかく、うるさい奴だ

『堪えてよ……』

私の女とは思えない声のせいで、笑われる始末

今のは可笑しくても、堪えるところだろ。…普通は

「ごめ…はははっ!」

『…………』ベシッ「いたっ」

冷めた目で見続けているにも関わらず
、笑い続けるカノに
平手をかませば

痛っ、痛い本当に痛い痛い痛い痛いー!と
大袈裟に騒ぎ始める

顔は本当に痛そうな顔をしている、が。私は騙されない
ニヤニヤと笑ってるのがバレバレだ

無表情で騒ぐ様を見ていれば

「うぅ…痛いよ名無しさんっ」

『うん』

上目遣いで伺うように見てくる

狙ってやっていると分かっていても、可愛い

だが負けじと、フィッと顔を反らす

「…痛いんだってばぁ!」

『あーっもう!』

腕にしがみついてきたカノに、私は声を上げた

チラリ、と見てソッと手を伸ばす

『…よーしよし』

腕にくっついてることは気にせず
頭をよしよし、と撫でてあげれば
驚いたように目を丸くした

『なーに?』

その様子にニヤニヤすれば

「…別に……」

フィッと顔を背けた

照れてるの、バレバレだけどね
クスクスと笑って頭を撫で続ける
…可愛いところもあるものだ

「ふぁー……、眠くなってきちゃった」

『え?眠いの?じゃあ寝てきなよ』

突然に言い出したカノに頭を撫でる手を止めれば
やめないで、と小さく言う

欠伸をして肩に頭を預ける彼は、なんだか猫みたいだ

「じゃあ…寝る」

そう言って立ち上が…

『うん。おやすみー…………って離れろよ!』

…らなかった

寝る宣言をしたのはいいんだ、いいんだよ?
だけどね、離れろよおおおお!

「名無しさんも一緒にと思って」

いや、無理です

『私眠くないすぅい〜』

イラッ「いいから、行くよ」

鼻歌を歌ってソファーにゴロリとすると
確実に目の前にいる男は苛ついた

はははっ青筋出てますよー

『嫌』

「立って」

怖いくらい笑顔だが苛ついているのは分かってる

『いーや』

「…無理矢理連れてくよ?」

笑っていた顔が一瞬危険な顔になり
危険を察知した私は即座に救世主を呼ぶ

『きゃーっキドさん助けてー!』
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