恋する動詞

□*見つめる*
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ホテルを出ると、そこには見慣れた姿

セト、小さくそう呼べば彼は勢いよく振り向くと

「名無しさん…!」ギュッ『セト…く、苦し…!』

感極まったのか、抱きついてきた

「あっ、ご、ごめん…」

『だ、大丈夫…』

な、なんて力だ…
危うくプレスされるところだった

…内心そんなこと思ってるなんて、言えない

「俺…名無しさんのこと心配だったから、つい…」

そう言って、今更恥ずかしくなったのか
ほんのりと顔を染めて視線を泳がせている

『セト…』

名前を呼べば泳がせていた視線を私に定め

な、なんすか?と、どもりながらも、私の言葉を待ってくれている

『心配してくれて、ありがと……嬉しい』

「!え…、う、うん」

私を心配してくれた。そう考えたら、自然と笑みが溢れた

一瞬目を見開いたセトは
更に赤くなった頬を人差し指でかいた

その行動に思わずクスクスと笑ってしまう

「ちょっ!なんで笑うんすか!」

『セトが可愛いから〜』

二人で可愛い、可愛くないと言い合いしていれば

「青春だねぇ〜」
「若いねぇ〜」

なんて声が周りから聞こえてきて

「は、早く行くっす!」

セトに手を引かれながら、慌ててその場を去った

走っている最中、初なセトにクスリ、と笑った

『ははっ面白かったー』

「全然面白くないっすよ…」

ぶすっとした声を出して、拗ねるセトはやっぱり

……可愛い

イケメンはやっぱりずるい
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