恋する動詞

□*悩む*
1ページ/3ページ

日が傾きかけている今
公園のブランコに二つの影

「それで話ってなんすか?」

此方を向いたセトと一緒に、ブランコが揺れる

『…………じ、実は、』

言ってしまっていいのか、分からなかった

上手く、言葉が纏まらない

セトに言いたいことは沢山ある
けど上手く、言えない

そんな私を見かねたのか、
セトはブランコから立ち上がると
私の前に来てしゃがみこんだ

「…言いたくなかったら、言わなくていいんすよ?」

優しい声でそう言ったセトは
俯いた私の顔を覗き込むように、此方を見上げた
その瞳に視線を合わせた

『違うの…何て言うか、言いたいことが沢山あって…』

「…深呼吸して」

いきなり言い出したセトに
深呼吸?と聞き返せば軽く頷いたので

『すぅー…はぁー…』

言われた通りに深呼吸を繰り返す

セトは深呼吸をする私を落ち着かせるように、頭を撫でている

「…もういいっすよ」

そう言われて深呼吸をやめる

「落ち着いたっすか?」

『…うん』

セトの優しい声色に深く頷く

さっきまでは、何だか焦っていたのに
不思議と今は冷静に物事が考えられる

前にいるセトを一度見れば私だけをじっと、見ていて
話し出すのを待っているみたいだった

『……私、昨日ずっと考えてた』

「うん」

俯きながらゆっくりと話し出す

『カノの傍にいちゃいけないのか、って』

「!…うん」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ