その他 短編集
□雨の日が好きになる
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雨の日が好きになる
じめじめ。
『だから雨は嫌なんだよなぁ』
自分が惨めに思えてくるから?
告白するまでもなくあいつには彼女さんがいてふられちゃったから?
何もないところで滑って尻もちついちゃったから?
『たぶん全部正解』
「***、何か言った?」
そう言ってこてんと首を傾げたのは隣にいたアルミンだった。
『...何も言ってないよ』
どうしてあんたは女子じゃないのにそんなに可愛いんだろ。
私に少しでいいからその可愛さを分けて欲しい。
「なんか最近***元気がないからさ、心配だったんだ」
『へ?そんな顔してた?』
アルミンはこくりと頷いて真剣な表情で***を見つめる。
「ぼ、僕...全然力になれないかもしれないけど、君の側にいれることはできると思う」
いつもより少し低くなった声色になぜか心臓の鼓動が速くなる。
「いつも近くで***のこと見てた。これからは僕のために笑って欲しい」
急に恥ずかしくなって***はばっと顔をアルミンから逸らした。
『...ありがと、アルミン』
「うん」
涙を堪えきれなくなった***が泣き終わるまで、アルミンは優しく頭を撫でていたのだった。
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数十分後。
『アルミンのこと、男の娘だと思ってた私って本当馬鹿』
「え?そうなの?」
『うん。だって可愛いもん』
「それは***でしょ?」
『...へ?は?』
「ずっと思ってたからね」
『...』
大嫌いな雨の日。
忘れられない思い出の日になりました。
終わり