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□政略結婚
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政略結婚


*低確率ラッキー過去拍手*

「***は少し血が上りやすいから、くれぐれもお相手の前ではおしとやかにするように」

煌帝国へと出発する前に父上から言われた言葉だった。

血が上りやすいというか生粋の負けず嫌いなのだ。

そんな男勝りな性格なもんだから今まで結婚の話どころか誰も私に近づこうとしなくて。

でも私が二十歳になろうとしていたある日、急に結婚の申し込みがあった。

なんでもお相手は煌帝国の第三皇子らしく、しかもその理由が私のことを気に入ったからだというのだ。




『気に入ったってどうせ私の性格知ったら嫌いになるに決まってる』

「***様!何を言っておられるのですか。***様は素敵な方でございますよ?」

もう何度この言葉を聞いたことか。

すでに聞き飽きた。

『今まで会ってきた男は皆そうよ。容姿は綺麗だけど性格がねって言われてこのお見合いも終わり』

「しっ!もうすぐ着きますから。礼儀正しくして下さい」

今日のお見合い場所はすこし変わっていて手入れがよく行き届いた中庭だった。

「あそこに座っている方ですよ」

確か名前は練紅覇。

初めてあって気付いたのだが私よりも年下に見えた。


『初めてお目にかかります。今日は…』

「自己紹介なんか面倒臭いしぃ。それより早く僕の隣に座りなよ」

『は?』

なんだその態度。

「***様っ」

横にいた従者が***の袖を引っ張り落ち着かせる。

震える拳をおさえながら言われた通り横に座った。

頭に血が上っていて今までわからなかったが強い殺意を感じた。

『…』

「どうかしたの?」

違和感が確信へと変わった時、こちらに矢が飛んでくるのを視界に捉えた。

ざしゅっ―。

体が勝手に動いて、***はその矢を斬っていた。

「***様っ!」

従者の声が悲痛なものに変わる。

あーあ、またやってしまった。

『隠れていても無駄。そこから出てきなさい…山賊ども』

今日初めて会ったばかりだが、練紅覇は私よりも若い。

それならば、私が彼を守らなければならないのは当然のこと。

***が彼を庇い一歩前に踏み出そうとした時。

「下がってなよ」

『え?』

「お前は僕が守ってあげる」

山賊と練紅覇の力の差は圧倒的だった。

本当に一瞬。

一瞬の出来事のように思えた。




「終わりぃ」

返り血を浴びた彼から恐怖などは感じられず嬉々とした感情が伝わってきた。


『このような席で無礼な真似をしたこと、お許し下さいませ…我等はすぐにこの国を出ますので』

「お前は僕がもらうから帰さないけどぉ?」

『い、今何と?』

「このお見合いは成立ってことぉ。死ぬまで***のこと離さないから」

覚悟してねぇと練紅覇は私の耳の側でそう囁いた。




だから気に入ったって言ったでしょ?


終わり

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