短編こっちだって。

□雨と君 黒子
1ページ/1ページ


雨と君

『あぁー、最悪。帰りが遅くなったうえに傘忘れた』

天気予報が外れたのである。

「どうかしましたか?」

『わぁっ、黒子くん!?黒子くんこそどうしたの?こんな時間に』

「えっと…部活が終わったので忘れ物取りに来ました」

『そ、そうなんだ』

どうしよ、心臓が飛び出ちゃうよー!

どくん…どくんどくん…。

「傘忘れたんですか?」

直球だよー汗

『あはは…うん。女の子失格だよねー、まったく』

『でもこのくらいなら走って帰れるし、大丈夫!ばいばい!』

「ちょっと待って下さい!」

ギュッ。

『え?』

「女の子なんですから体は大事にしないといけませんよ」

待てー手が手が!

『大丈夫だよ』

「駄目です、良かったら傘一緒に使いませんか?」

遠回しに相合い傘ってこと?

『黒子くんに悪いし…』

「全然大丈夫ですよ」

『えっと…じゃあお言葉に甘えて』

黒子くんて水色の傘なんだ…。

なんかピッタリだなぁ。

ぼーと見てたから今気付いたんだけどまだ手繋いでるよ!

『えっと…黒子くん?』

「なんですか?」

『あのーなんていうか手が…手がね』

「駄目ですか?」

『駄目じゃないけど…なんというか…その』

「あの」

『は、はい!』

いきなりでびっくりした〜。

「突然なんで困るかもしれませんが…好きです」

『は、はい!え?』

今なんて言った?

「好きです」

『私のこと?』

黒子くんと目が合う。

「はい、返事聞かせてくれますか?」

どうしよう…好き、大好きだけど。

黒子くんは私の事好きだったんだ。

現実味全然ないよ…。

『えっと…私も好きです』

声めっちゃ小さくなった。

聞こえたかな?

うわぁん、恥ずか死ぬ。

ギュッ。ガサッ。

目の端に水色の物が見える。

『え…?』

いつの間にか雨は止んでいて

「ありがとうございます、嬉しいです」

目に映るのは水色の君と水色の空。

虹色が見えていた。

『く、黒子くんっ』

「すいません、あんまりにも嬉しかったんで」

君の温もりに包まれて気持ちよくて頭がぽーとしてきた。

「大丈夫ですか?」

『大丈夫!大丈夫!あのさ黒子くん…』

私の言葉を遮って黒子くんが言う。

「テツヤって呼んでください」

『え!?む、無理無理無理!』

「無理じゃありません」

顔を近づけないで~。

『わ…わ、わかったから』


『テ、テ、テツヤ』

絶対顔が赤いよ!

「顔そむけないでください、可愛いですから」

『…』

殺された、殺し文句だ今の。

『ん〜もう!』

「待ってくださいー」

『こっち来ないでー』

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ