短編こっちだって。

□子犬を濡れないとこまで移動させる
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『ここら辺でいいかな?』
子犬を濡れない場所まで移動させた
『ちょっと待っててね、傘取って来るから!』

誰という訳でもなく子犬に話しかけた

タタタタタッ
『くしゅんっ!風邪引いちゃうよー』
自分の家めがけて全速力で走る


15分程かけてやっとたどり着いた『お母さん、ただいま!』
「ちょっと!びしょ濡れじゃない…大丈夫なの?」
『大丈夫、大丈夫!ちょっと忘れ物したから学校行ってくる!』
「なんで学校行くのに牛乳とかパンがいるの!」
キー パタンッ
「もう、まったくあの子は…」


はぁっ…はぁっ…
部活やってるのにこのくらいで息が上がってしまう
まったく情けないな、私は
子犬、大丈夫かな…

『あともう少しッ!』
子犬がいる場所までは角を曲がれば着く

『えっ…?』
思わず持っていた物
子犬にあげるための牛乳とパンを落としてしまった

『なんで…?』
子犬がいる場所には桃井さんと私の好きな子がいて…

その子はまるで桃井さんを優しく包み込むように抱き締めていた

桃井さんの肩が震えてるのが見えて泣いてるんだってわかった

距離があったからここからじゃ何も聞こえなかったけど

私の恋が終わったことだけは…
終わりを告げたことだけは頭の中で理解した

『あーあ…』
理解したつもりだったけど
本当に好きだったから

『う…っ…本当にっ…情けないな…私…っ』

涙が出たけど雨が洗い流してくれたから

『あっ…りが…っとう…』
私はこの気持ちを置いて
またきっと…
誰かを好きになることができるよ

‐sad end‐

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