短編こっちだって。
□太陽みたいな君
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太陽みたいな君
夏の暑い日差しにも負けないその輝きに私は強く惹かれた―。
「今日もまた残るのー!?」
『ちょっとやりたい事があるから、先に帰ってて』
「別にいいけど…気をつけて帰りなさいよね」
『ありがとう』
***はもう何度目かわからない友達からの帰りのお誘いを断った。
机に文字がたくさん並んでいるノートを広げる。
『よしっ』
教室には人もほとんどいなくて静かだった。
勉強はあまり得意では無かったけれど、最近は毎日夜の7時まで頑張っていた。
それにはもちろん理由があったから。
閑散とした校舎を出てまだ明かりのついた体育館へと向かう。
あ…いた。
1人だけ残って自主練習する彼、黄瀬涼太を***は見に来ていたのだ。
『本当にキラキラしてるよなぁ〜』
「何がッスか?」
『うわっ!?』
うんうんと頷いていて近寄る人影に気づかなかった。
手の届かないと思っていた彼が、今は目の前にいる。
信じられなくて…夢なんだと思った。
『…夢ですか?』
ぽけーっとする私が面白いのか黄瀬は笑っていた。
「***ちゃんッスよね?」
『な、なななんで私の名前っ』
「最近見に来てるの知ってたから」
最近見に来てるの知ってたから…?
黄瀬の言葉が頭の中で何度も何度も繰り返される。
『え!?』
***は恥ずかしくなって頬を真っ赤に染めている。
「話してみたいなって思ってたんすよ?」
その時の笑顔は今までみたどの笑顔よりも綺麗で…素敵だと思いました。