短編こっちだって。

□黄の素顔
1ページ/1ページ



黄の素顔


「おはようッス」

『おはよー!黄瀬くん』

「ははッ」

『なんか良いことあった?』

「いや、何でもないッス」

『ふふッ変な黄瀬くん』


『にしてもお仕事大変なの?顔が疲れてるよ?』

「ははッ大丈夫ッス」

笑顔で答える黄瀬。

本当かな…。

『あッ黄瀬くん、良かったらチョコどうぞ』

「ありがとうッス」

良かった…思ったより大丈夫みたい。


3限目、体育

男子はバレーで女子はバスケ。

黄瀬くんは…やっぱりいつもより元気がないみたい…。

「なになに〜黄瀬くん見てるの〜?」

『うん…元気ないなぁって』

「そう?周りから黄色い声が飛びまくりだよ?」

『そうかなぁ…』

じーっと黄瀬くんを見ているとこっちに気付いて手を振る彼。

「ちょっちょっとどういうご関係?」

『ただの友達だよ』

さっきから黄瀬くんの様子が変だ…。

休憩をしているが肩の上下動が激しい気がする。

タタタタタッ。

『黄瀬くん!ちょっと来て!』

「えっちょっ…大丈夫ッスよ」

強引に黄瀬くんを保健室に連れていく。

「どしたんスかっ?いきなりっ」

『どうしたもこうしたもないよっ!ヘロヘロでしょっ!』

「!!」

ベッドに黄瀬くんを寝かせた。

『大丈夫?強引に連れて来ちゃってごめんね』

「いや…ありがとうッス」

『そう…良かったっ』

微笑みかける***を見て、顔を紅潮させる黄瀬。

とっさに顔を背けた。

『私にぐらいは言ってくれてもいいのに…力になってあげられるのに』

「そういう訳には…いかないッスよ」

『もう…強がっちゃって』

そう言って私はため息を吐いた。
自分の目を手で覆うようにして

『はぁ…私はそんなに頼りないかな?』

と言って下を向く。

「そんな事はないッス…けど好きな女の子にはかっこいい姿を見てほしいというか…」

『ははッ何それッ』

吹き出す私。

「こっちは真剣なんスよ!」

***は馬鹿にするような笑顔とは違う

『ありがとう…』

優しい笑顔を向けている。

「なッ」

また顔が赤くなる黄瀬。

『どうしたの?』

黄瀬の顔を窺うように見た。

「それ以上は…だ、駄目ッス!」

『可愛いとこあるんだね』

チュッ。

黄瀬の右頬にキスをする。

「!?」

右頬を手で押さえ何か言いたそうな顔をしている。

『今はゆっくり寝てなさいよっ』

手を振りながら保健室を出た***を見つめながら

「完敗ッス…」

と呟いた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ