短編こっちだって。
□さよならじゃありません
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さよならじゃありません
人との出会いは偶然とか運命ではなく必然であって。
その逆だってきっとそう。
―帝光中学卒業式
『待って!』
彼女、***から呼び止められ僕は立ち止まる。
「どうかしたんですか?」
肩を上下させて酸素を必要としている***は一旦深呼吸して気持ちを落ち着かせた。
『こんな事を私が言うのもどうかと思うけど』
そんなに泣きそうな顔、しないで下さい。
『バスケ…止めないで』
あなた達バスケ部を助けられなかった私がこんな事言うのなんて馬鹿げてる。
でもバスケさえ止めなければまたどこかで会えそうだから。
『お願い』
「もちろんです」
私は校門から外へ出ていく彼の後ろ姿をしっかりと目に焼き付ける。
なぜか本当にまた会えそうな気がした。
会えない時間は長いかもしれないし、短いかもしれない。
出会いがあれば別れはあるけど、別れがあれば出会いはあるんだ。
『…好きだよ』
散りゆく桜の花びらに願いを込めた。
「***さん」
またどこかであなたに会えたとしたらこの胸の中にある気持ちを伝えます。
「だから待ってて下さい」