その他 短編集

届け君への想い
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「…***」

『紅覇様?』

いつもとは違う声色に不思議になって***は首を傾げる。

「様付けはやめてって言ったじゃん。お前は僕の幼馴染みでしょぉ?」

私は一瞬だけ驚いた顔をした。

幼馴染みというのは本当だったが、皇子と従者。

身分の差は明らかだった。

『…私は武術の腕をかわれて紅覇様の従者をさせていただいてます。主を呼び捨てなどできるはずがございません』

昔のことなど忘れて下さいと***は言った。

「じゃあ〜聞くけど、***は僕との思い出忘れたぁ?」

『…っ』

答えることのできない彼女を紅覇はねぇと真っ直ぐに見つめる。

『…ません』

震える声になりながらも

『忘れたことなんて一度もありません…っ…』

***はそう答えた。


「***の綺麗な顔を見せて?」

燃えるような赤が視界いっぱいに広がる。

『へっ?』


紅覇は涙を優しく指で掬(すく)った。


『あ、あの…』

「だからぁ、早く僕の気持ちに気づいてってば」

もうと怒って紅覇は頬を膨らませた。

『え?…え!?』

止まっていた涙が再び***の肌を流れた。


「僕はさ、昔から***のこと好きだよ」


*終わり*


(私も大好きです)
(そ、そんなの知ってるしぃ…)
(ふふっ。そうですよね)

今日からまた一段と忙しい日々が始まりそうです。

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