その他 短編集

大好きだよ
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『待って!』

“俺のことはどうでもいいから放っておいてくれ”

時々悲しそうな瞳をするキルアを放っておくことなんか出来なかった。

君が遠くへ行ってしまう前に、どうしても言っておきたいことがあったから。


『…キルア、お願い話を聞いて』

やっとの事で私はキルアの腕を掴むことができた。

「…離せよ」

じりじりと突き刺すような殺気が伝わってくる。

『話を聞いてくれたら、殺してもいいよ』

「は!?」

薄い藍色の瞳が大きくなる。

***は一呼吸してから真っ直ぐその瞳を見て話し出した。

『キルアは殺人鬼なんかじゃない』

「俺は殺人鬼だよ」

『ううん。手だってこんなに暖かいもの』

自分の手を優しく包み込む***にキルアは少しだけ頬を染める。

『だから、殺人鬼なんかじゃない。自分を責めないで…っ…』

彼女の瞳から零れるのは涙で。

また、優しい彼女を泣かせてしまったとキルアは反省した。

「…ごめん。***を泣かせるつもりはなかった」

『うん。私は何があってもキルアの味方だよ。それぐらい大切で大好きなの…そんな悲しそうな顔しないで』

「わかった」

***から視線を外し、キルアは照れ臭そうに頬をかいていた。


*終わり*


(じゃあ…殺してもいいよ)
(殺せる訳ないじゃん…)
(え?)
(なんでもないっつぅーの!)
(またキルアの家に行ってもいいのー?嬉しいっ!)
(勝手にしろ!)

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