その他 短編集

セピアの中の輝き
1ページ/1ページ



終わりない戦いの中で、彼ら―エクソシスト達は人間の為に命の灯火を消すのだ。

それが彼らの運命。

避けることのできない運命だった。


『神田っ!』

***はアクマが発射した弾丸を自らの体で受け止めた。

「…っ、馬鹿野郎!なんで庇ったりしたんだよ」

『大丈夫…っ…私、寄生型だから』

血を流しながらも彼女はいつものように明るく笑っていた。

『それより…神田が無事で…っ…はぁ…良かったよ』

「ちょっと待ってろ。すぐにこいつらを倒してお前を連れて帰る」

最後まで言い終わらないうちに神田は戦場に戻った。


『ちゃんと家(ホーム)に…帰れるかなぁ…ごほっ…ごほっ!』


ごめんね…神田。

君を残していっちゃうけど怒らないでね?


喧騒に包まれるこの戦場で、また一人の尊い命が失われた。




『ってあれ?』

目が覚めた場所は誰かの部屋だった。

家具など必要最低限のものがあるだけで閑散としている。

『…神田?寝てるの?』

すぐ側には紙紐をとった神田がいた。

「…***?」

私の為に泣いてくれたの?

『やっぱり君を残しては駄目だって、神様が』

言い終わらないうちに神田は***の存在を確かめるようにぎゅっと抱きしめた。

「お前が…無事で良かった」


*終わり*

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ