その他 短編集
□セピアの中の輝き
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終わりない戦いの中で、彼ら―エクソシスト達は人間の為に命の灯火を消すのだ。
それが彼らの運命。
避けることのできない運命だった。
『神田っ!』
***はアクマが発射した弾丸を自らの体で受け止めた。
「…っ、馬鹿野郎!なんで庇ったりしたんだよ」
『大丈夫…っ…私、寄生型だから』
血を流しながらも彼女はいつものように明るく笑っていた。
『それより…神田が無事で…っ…はぁ…良かったよ』
「ちょっと待ってろ。すぐにこいつらを倒してお前を連れて帰る」
最後まで言い終わらないうちに神田は戦場に戻った。
『ちゃんと家(ホーム)に…帰れるかなぁ…ごほっ…ごほっ!』
ごめんね…神田。
君を残していっちゃうけど怒らないでね?
喧騒に包まれるこの戦場で、また一人の尊い命が失われた。
『ってあれ?』
目が覚めた場所は誰かの部屋だった。
家具など必要最低限のものがあるだけで閑散としている。
『…神田?寝てるの?』
すぐ側には紙紐をとった神田がいた。
「…***?」
私の為に泣いてくれたの?
『やっぱり君を残しては駄目だって、神様が』
言い終わらないうちに神田は***の存在を確かめるようにぎゅっと抱きしめた。
「お前が…無事で良かった」
*終わり*