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あれが運命だと言うのならば
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あれが運命だと言うのならば

「市丸…お前が犯人なら俺はお前を許さねぇッ…!」

雛森を傷つけられたことに激昂した日番谷は斬魄刀をその手に構えた。

「氷点に坐せ、氷輪丸!」

大気中の温度が急に下がった。

「刀向けられたら…そんなん止めるの僕しかおらんやん」

日番谷が氷輪丸を降り下ろす直前に誰かが市丸の横を通り過ぎた。

『地にその名を轟かせ…雷煌姫(らいこうき)』

氷に雷がぶつかり、その熱で氷は蒸発してしまった。

「***!?」

驚きと戸惑いを日番谷は隠せない。

姿を現した人物は三番隊第五席の***だった。

市丸を庇ったような***の態度に日番谷は

「お前…どうゆうつもりだ」

声を低くしてそう言った。

「***はてっきりあっち側やと思うてたんに、もしかして考え直してくれたん?」

後ろからぼそりと呟くように市丸も言葉を漏らした。


“協力してくれへん?”


『今は雛森副隊長の手当ての方が先決です。刀を納めてください…日番谷隊長』

日番谷は雛森がいる方と***達がいる方を一回ずつ見て、雛森を連れていった。




「その顔はまた夢を見たんやね」

***は小さい頃よく市丸や松本とは一緒に遊んだ仲だった。
当時から***は夢を見ることが多々あった。

しかもその夢は実際に現実で起こってしまう正夢だった。




『今ならまだ間に合うよ。だからあっちに行かないで』

なんて言えるはずもなくて。

『生きて帰ってきて…でも姉さん泣かせたら承知しないよ?』

「あーそら、怖い怖い」

『約束だからぁ…っ…』

「ありがとう」

***の頭にぽんと手をのせた市丸は“頼んだで”と言い夜の闇に紛れていった。

『…バカギン』

だけど好きだった。


終わり

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