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人類最強の名を君に
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人類最強の名を君に


「馬鹿!行くな」

俺があいつの後ろ姿を見たのはそれが最後になった。




『また壁外調査かぁ…やだな、誰にも死んでほしくないのに』

そう呟いたのは***だった。

「死ぬやつが悪いだろ」

『兵長にだって自分の身を省みずに助けたい仲間ができるよ』

2歳年下の***は頭の良い、優しい人間だった。

俺と違って彼女は誰からも好かれていたし、実際自分も嫌いではなかった。


「今はいないと言いてぇのか」

『私のことをそう思ってくれているならそれは嬉しいけど、兵長だって死んでほしくないから』

準備を終えた***がそう言って立ち上がった。




壁外調査も終わろうとしていた頃。

「南東約10メートル先に巨人が出現!他隊が応戦しています」

一本の伝令が入った。

この時すでにカウントダウンは始まっていた。

『10メートルならすぐ行けるね、リヴァイ』

俺はなにも言わずに頷いた。


そこは高い木々に囲まれた場所だった。

地面には血痕だけが残り、誰もいなかった。

どこに消えた?


『リヴァイ!!』

背後からの攻撃に気づかずに吹き飛ばされ、木の幹で強く背中を打った。

霞む視界の中。

『生きて…皆を守って』

俺は巨人に立ち向かう***に必死に何かを言っていたがすぐに気を失ってしまった。




目を覚ました場所は医薬品の臭いのする部屋だった。

「リヴァイ!良かった!大丈夫?」

視界いっぱいに映るのはハンジだった。

「ここは…俺は…」

「倒れてたんだよ。近くに巨人も倒れてた」

「***は?」

ハンジは目を閉じ、首を横に振る。

「あの場所にはたくさんの血痕が残っていて***が無事かどうかはわからない」

「…そうか」


“生きて…皆を守って”


「リヴァイ…」


心配そうに見つめるハンジに気付くことなくリヴァイは現実から目を背けるように目を閉じた。


終わり

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