その他 短編集
□どうしてそこまでできるんだよ
1ページ/2ページ
なんでと理由を聞かれても
ーそれは君を助けたかったから
ただそれだけだよ。
『アルカ。私の願いを聞いて欲しいの』
目をまんまるにしたアルカは***の瞳を見るように覗き込んでから口を開いた。
「ねぇ...***。右目の視力をちょうだい?」
『うん、いいよ』
***の前のお願い事は、もう一度地面を踏んで歩きたいというものだった。
半分の視界が真っ黒に染まる。
次はどんなお願い事をされるかな?なんて冷静に考えている自分がいた。
「***〜。次は次は涙をちょうだい?」
『わかった』
半分は視力のない瞳だ。
泣けないようになるぐらいならお安い御用だ。
最後の願いは...
「***...じゃあね、***の綺麗な髪の毛をちょうだい?」
そう言ってアルカはえへへと微笑んだ。
『うん』
しゅっと音がして肩から下の髪の毛がぱさりと地面に落ちた。
生まれてから切ることの無かった漆黒の髪。
地面に落ちた瞬間、さらりと消えて行った。
アルカから何かに表情を変える。
『キルアが瀕死の状態なの...だからお願い、助けて』
「あい」
返事をした瞬間、ぱっといつものアルカに戻った。
『ありがとう。また来るね』
「ばいばい〜」
→next