企画夢
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やっぱり1番! × 黄瀬
(バレンタインコラボ企画)
『やっぱり無理〜』
「はぁ!?あんたあいつの彼女なんでしょ?チョコくらいあげて普通じゃんか」
あいつとは今まさに目の前でたくさんの女子の中心にいる黄瀬だ。
徹夜までしてやっと完成したチョコレート。
大好きな彼にどうしても渡したかった。
『あの中に入っていけないし…やっぱり今日は諦めるしかないよ』
「学校でしか渡す時間ないんじゃなかったの?」
渡せない訳じゃない。
帰り道でも部活に行く前でもチャンスはいくらでもある。
ただ、勇気がないだけ。
『ごめん。一緒に来てくれたのに…』
「いいよ。お節介かもだけど、もう少し自分に自信持っていいと思うよ」
じゃあねと言って友人は部活へ行ってしまった。
『はぁ…。もう最悪!私の馬鹿ぁ…』
***は靴箱の前で膝を抱いて座り込んだ。
ちょっとの勇気があれば。
変わっていたかもしれないのに。
涙でじわじわと視界が霞んでいく。
もう帰ろうと立ち上がった時だ。
隣にいた人影に気づいた。
「***」
『え?黄瀬くん?』
薄暗い闇の中に手を伸ばすと暖かい彼の手のひらが包み込んでくれた。
「どうかしたんすか?」
『別に…なんでもないの。黄瀬くんこそ今日は早く部活に行かなきゃいけないんじゃなかったの?』
握られた手に少し力が入る。
「赤司っち怒られるかもしれないッスけど、俺には待たなきゃいけない理由があって」
『理由?』
表情を窺うように見ると黄瀬は少し恥ずかしそうにしながら
「…チョコ。誰からも貰ってないんすよ?好きな人からしか貰わないと決めてるんで」
と言った。
『…どうぞ』
持っていた紙袋を手渡した。
「ありがとうッス!」
笑顔を見て、あぁやっぱり黄瀬くんのこと好きだなと***は思う。
『部活…応援に行ってもいい?』
「悪いなんて言える訳ないじゃないッスか」
*終わり*