企画夢
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1000倍返し☆ × 沖田
(バレンタインコラボ企画)
『………なんなのよ、ったく…』
「どうしたアル?珍しく浮かない顔アルな、***」
『まぁね…』
帰って来た***は何故か珍しく怒っている様子だったが、どこか寂しそうな顔をしていた
「チョコ渡せなかった…とか?」
『御名答』
「何やってるネ……」
はぁ…と呆れたようにため息をついた神楽は***をソファに無理矢理座らせ
「なんで渡せなかった?今更恥ずかしいーなんてないだろ?それとも……サドに何か問題があったアルか?」
『ん……それがさぁ…』
遡る事、30分前
***は屯所に来ていた
『すみません、土方さん。総悟いますか?』
「あぁ奥にいるが…今は行かねぇ方が良いと思うぜ」
『はぁ…そうですか?』
よくわからず首傾げる私であったが、すぐに土方さんの手に握られているブツに目がいった
『土方さん、それ…』
「ん?あぁチョコ。女中にもらった」
めんどくせーよ…とか言いながら部屋の中へ消えて行く土方さんを後ろから見つめていた
もしかしたら…総悟ももらってるのかな……
なんて考えは一瞬で現実になり、
「お、沖田さん!これ!」
「ん?おぉ…チョコですかィ。あぁ、そーいや今日はバレンタインでしたねィ」
「受け取ってくれませんか!!」
「俺に?ふーん……じゃーありがたく…
「……で?」
『そこで走って逃げて来た』
「えぇ…最後まで聞いて無いのにか?でもまぁ流れ的にもらった気がするネ…」
『でしょ?総悟ね、人から貰った物は信用してないから絶対に食べないし受け取らないんだって。私は彼女だから特別らしいけど…』
そんな総悟が受け取ったという事は……その女中に対してそういう気持ちがあるって事…?
そんな事をフワフワ考えていると、
「ただいまぁー銀さんが帰って来たぞコノヤロー」
いつものように…いや、いつも以上にダルそうな銀時がどこからか帰って来た
「銀ちゃん、その様子だとチョコもらえなかったみたいネ?いい大人がみっともないアル」
「うるせーな!別にチョコもらいに街をわざわざ歩いていたわけじゃねーよ!あ、そういや***。総一郎君が探してたぜ?お前の事」
『はぁ?総悟が?』
何よ今更。まさか…別れ話!?
『ちょっと…出かけてくる。あ、銀さんこれあげる』
ポイッと銀時に向かって投げたのは、***が沖田にあげるはずだったチョコ
『それ、いらないからあげる』
「え!良いの?マジで良いの?食べちゃうよ、マジで食べちゃうよ銀さん」
『どーぞ』
そう小さく答えると、***は黙って外へ出て行った
「……銀ちゃん、それまだ食べちゃダメアルよ」
「はぁー!?んでだよー」
「私の考えが正しければきっとそのチョコはまた必要になるネ。全く…ちょっとは空気読めよ天パが」
「天パは関係ねぇーだろっ!?」
「おーいたいた」
『…………』
ブスッとした表情の私を見た総悟は「今すごくブサイクな顔になってまさァ」なんて空気の読めない事を言っているが***は全力で無視をした
『何よ…いきなり…』
「屯所に来たって聞きましてねィ。何か俺に用があったんだろ?」
何かを期待するようにニヤニヤ笑っている総悟に***はイライラしながら言った
『チョコ。良かったねーあんな可愛い女中さんから貰えて』
「はぁ?」
『私見たんだから!総悟が貰ってた所…』
「はぁ?」
その瞬間、沖田は何かわかったのかプッと吹き出し
「それちゃんと最後まで聞いていたんですかィ?」
『最後まで?』
「俺はこう言いやした。“じゃーありがたく頂きたい所ですけどねィ…俺は他人から貰ったものは口にしない主義なんでさァ。まぁ、ただ一人…俺の女を覗いて”……つまり受け取ってやせん」
『えぇ……嘘…』
思いっきり勘違いをしていた***は急に恥ずかしくなり、顔を真っ赤にしながら俯いた
「んで、噂のチョコはどこでィ!」
『……あ…あぁぁぁぁ!!』
……しまった…
『銀さんにあげちゃった…きっと今頃銀さんの胃袋の中…』
「………何やってんでィ…」
『だ、だって……』
シュンと落ち込む***を見た沖田はふぅ…と息を吐くと近くの店へ入り、何かを買って来た
「受け取りやがれ」
『は…?え、これ…』
「俺からの逆チョコ…代わりの髪留めでさァ。まぁ勘違いさせちまったのは悪かったっつーお詫びも含めの、チョコでさァ」
***は手の中でキラキラと光る髪留めを大切に握ると満面の笑みで微笑む
『ありがとう…総悟!』
「ホワイトデーでは1000倍返しで許してやりまさァ」
『はぁ!?何それ!?』
この後、万事屋に帰ると奇跡的に神楽が銀時から死守したあのチョコを持って屯所に帰る沖田を追いかける事になるとは……まだこの二人は知らない