企画夢
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譲れない気持ち × 紅明
(バレンタインコラボ企画)
「今度は誰ですか?」
煌帝国第二皇子である紅明様の声に少し怒気が含まれているのがわかった。
『すいません。…***です』
「貴方でしたか。すいません。てっきり他の侍女だと思ったので」
特別な存在などではない。
ただ私が紅明様の身の回りの世話をする侍女というだけ。
ここに来た初めの頃、困っていた私を陰ながら支えて下さった人だった。
この方の役に立ちたいと一生懸命仕事をして先日、やっと紅明様お付きの侍女になることが許された。
『どうかなさったのですか?』
「私ですか?***が気にするほどのものではないですよ」
と言いながらも紅明様は話し出した。
そんな小さなことが少しだけ嬉しかったりする。
「侍女達が兄王様や紅覇に直接渡せないから渡してほしいと私に頼んでくるのですよ」
2月14日。
今日はバレンタインだ。
『チョコレートをですか?』
「そうです」
はぁと溜め息をつきながら紅明は頭をかいた。
『あの…』
「なんですか?」
ラッピングされた袋を***が出すと紅明はあからさまに嫌そうな顔をした。
「***もですか」
そしてやれやれ仕方ない、***にはお世話になっていますからと言って重い腰をあげた。
『紅炎様や紅覇様のではないんです』
「?じゃあ一体誰のですか?」
『紅明様にです。初めて作ったので美味しいかわかりませんが…』
片方だけ見える瞳が大きく見開かれていた。
失礼なことをしてしまった?
***はぎゅっと目をつぶった。
思慮深い紅明様のことだ、何かとネガティブに考えてらっしゃるのでしょう。
自分を落ち着かせてから***は
『これからもずっと紅明様の側に居させて下さい。紅明様の全部が好きなんです』
と言った。
紅明は口をぱくぱくとさせて可愛らしく微笑む***を見ていた。
*終わり*
→あとがき