企画夢
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置き去りのチョコレート × クラピカ
(バレンタインコラボ企画)
2月14日。
受信メール 0件。
『やっぱり来てない…』
何度見ても0が1に増えることは無かった。
“思い出の場所で待ってる”
思い出の場所とは街の真ん中にある大きな噴水のこと。
幼なじみであるクラピカに私の想いを告げる場所にした。
『来てくれるかなぁ』
時計は朝の9時を指している。
携帯を握りしめながらポケットに手を突っ込んだ。
誰かを待つという時間は私にとって経験したことのないくらい長いものだった。
雨がぽつぽつと降りだして本降りになったのは午後4時頃。
『…雨。降ってきちゃった』
***は濡れながらも、ベンチに座り彼を待ち続けた。
きっと来てくれると信じて。
***からメールがあった。
“思い出の場所で待ってる”
彼女には嫌われたくなかったから私は極力会うことを避けた。
今は仕事が優先。
待ち合わせの時間も書いていなかったから大切な話ではないだろうと勝手に思い込んだ。
でも、「行った方がいいんじゃない?仕事は私に任せて」と言われ噴水のある広場に向かった。
時刻は午後6時を過ぎた頃。
雨はすでに上がっていてアスファルトが湿っていた。
「…いるわけないな」
いてほしかったのか?と自問自答しながら帰ろうとした時、見間違えるはずのない後ろ姿が視界に入った。
「***?」
『え?』
全身ずぶ濡れになっている***が泣いているように思えて強引に抱き寄せる。
「すまない。私のせいだ」
『ううん。来てくれるって信じてた…大好き…クラピカ』
「ありがとう。私も***のことが好きだ」
2人は幸せそうに笑いあう。
ベンチに置かれた可愛い袋がぽつんと忘れられていたのだった。
*終わり*