小説

□幽霊以上ニンゲン未満
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「……ねえシュウ、サッカーやろうよ!」
最近、天馬がやたらとこうやって僕を誘ってくる。もちろん僕はサッカーなんてやりたくないし、天馬もそれを知っているのだろうけど、
「シュウお願い!俺、どうしてもシュウとサッカーがしたいんだ!」
こうやって何度も。だから僕はいつも、
「嫌だよ。そんなにやりたいのなら雷門の皆とやってきたら?」
こうやって適当にあしらう。いつもなら、わかった、と去っていくのだけど、今日はなぜだか様子が違った。
「えー?そんなこと言わないでさ。
お願いだよシュウ!」
あまりのしつこさに、僕の苛立ちも徐々に募ってきて。
「じゃあさ、天馬が死んだらサッカーしてあげるよ」
さすがにここまで言えば引き下がるだろうと、少し安堵したその瞬間、短く絞られた、わかった、という返事とともに、天馬は宙を舞って、そして。
ぐしゃ。
なぜだか少し、快感を覚えた。

(僕がニンゲンになれない理由が、少しだけ分かった気がした。)

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