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□戻れない過去
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「アクセル…随分遅かったな。」

「ん…?」

長い回廊を歩いて見慣れたロビーに出ると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。

少し低くて、昔とあまり変わっていない声の主…。そんなの振り向かずとも誰だかわかった。

「サイクスか…なんか用か?」

「此処最近ずっと帰りが遅いからな。どうせ、アノ町に行ってるんだろ。」

「流石だな。アイザ…」

さっきのあの町は、俺達の故郷―。まだ心があったとき、住んでいた場所だ。

あの町も月も街灯も全部変わらない…。

昔の記憶を無理やり引っ張られる…。無理やり思い出させられる…。

でも、忘れたくないから…
アイザと作った思い出全部忘れたくないから、俺はあの町に…。

「辛いか…?」

「…。」

答えられない…。

あの時に戻りたいとでも言うのか…?
そんな馬鹿な考えはしたくない。

だけど…
もう一度あの町で、皆で、夏を迎えられたら…どんなに楽しかっただろうか。

「アクセル…」

ふと呼ばれた名前に俺は気付かなかった。
すると、腕を思いっきり引っ張られ、サイクスの腕の中に包まれていた。

顔を見合わせると、当然のようにキスをされた。

「っ…。んぅ…」

フレンチキスから少しずつ激しくなる。
それに答えるように俺は舌を巻きつかせた…。

あまりにも長いキスに俺は咳ごんだ。そしたら、サイクスも離れてくれた。

「辛いなら、俺がその間に入ってやる…」

「アイ…ザ?」

「嫌でも、俺はお前を離すつもりは無い。」

そう言ったと同時に、ロビーのソファーに押し倒された。サイクスは俺にまたがる用に乗っていた。

「ヤッ…ヤメロ!!サイクッ…」

言い終わる前に、サイクスが俺の首筋を舐め上げてきた。
両手で器用にコートを剥ぎ取り、薄いシャツは簡単に破かれた…。

「ぁんッ…んぅ、アッ…」

右手で突起をグリグリと押され、もう片方は舌で舐められた。

「イヤッ…アァッ…ぅんッ…」

「あの時に…戻りたいのか?」

「ンッ……え?」

いきなり言われたサイクスの言葉に、思わず顔を見た。サイクスの顔は今にも泣きそうだった。

「サイクス…?」

「嫌なんだ…心があったって…何も変わらない、元には戻らない…っ」

「おい…お前…ッアァ!」

いきなり下半身にきた衝撃に声が漏れた。

サイクスの膝が俺のソレをグッグッと押し当てていた。絶妙な快感と痛みが混ざった…。

「ヤメテ…クレッ…アイザッ!!」

サイクスのさっきの言葉がどうにも気にかかった。

何が言いたいのかわからない…。元に戻らないって…何のことを言ってるんだ。サイクスは、心を望んでいないのか…?

「俺は…お前が居れば、それでいいと思ってた。昔からの親友…リアが居れば…」


 
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