Book 【VOCALOID】
□初めまして、マスター!(前編)
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これはボーカロイドの神威がくぽと、そのマスター山野千歳が出会ったばかりのころのお話。
「初めまして。私はボーカロイドの神威がくぽです。よろしくお願いいたします。」
そう言って目の前のこの人物はきれいなお辞儀をした。
人物、というのは間違っているかもしれない。
イヤ、間違っている。
なぜなら目の前にいるのは歌を歌うために生まれたボーカロイド(機械)だから・・・。
でも千歳の目の前にいるこのボーカロイドはどう見ても人間にしか見えなかった。
千歳が思わず見とれていると、それを自分の声が聞こえなかったと認識したがくぽがもう一度
「初めまして。私は・・・」
と言い直す。
「あ、ごめんなさい。はじめまして。さ、どうぞ。」
千歳はがくぽを家の中に招き入れた。
「はい、失礼いたします。」
がくぽが後に続く。
さっきはお辞儀がきれいだと思ったが、がくぽは玄関での靴の脱ぎ方もきれいだった。
公式で武士のキャラがついてるのはそのせいか、とも思った。