Book【新選組 spin off】
□お花見
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沖田総司がまだ「惣次郎」だったころのお話です。
何故か山南さんや原田さんたち、年長組の食客もいます( ̄▽ ̄;)
でもごめんね、平助はいない・・・。(というご都合主義設定)
「おーい、近藤さん!」
出稽古から帰った近藤を永倉が呼び止める。
「ん?永倉君、どうしたね?」
「桜も見ごろだし、試衛館あげて花見にでも行かねぇか?」
「花見か。すっかり忘れていたが、もうそんな季節なんだな。」
道場主の近藤があたりを見渡して言った。
(が、近くに桜の木はない)
「なぁ、行こうぜ?」
「じゃあ、惣次郎の熱が下がったら行こう。」
今、熱を出して寝込んでいるのだ、と近藤は言った。
「なんだ、あいつ、また熱出してやがんのか。」
「そうなんだよ。それまで花がもつといいんだがな。」
近藤の言葉に、永倉がボリボリっと頭をかいた。
「ま、葉桜になっちまったとしても、かまうもんか!」
(つぼみだろうと満開だろうと、どうかすりゃ酒さえあれば枯れ枝の下でだっていいんだからな・・・)
などと思いながら、
「そうだな。たまには皆で出かけるか。」
と近藤が言うと、
「よし、それじゃ決まりだ。それにしても、惣次郎のやつ、早く熱が下がるといいな。」
そう言って永倉はふらりと出かけて行ってしまった。
「お花見に行くんですか!?僕も行ってもいいの?」
出稽古でかいた汗をさっぱりと拭った近藤が惣次郎の様子を見に部屋に行くと、惣次郎は目を輝かせて喜んだ。
「もちろんだ。皆で弁当を作って行こう。お前もちゃんと手伝うんだよ。」
「うん、あ、はい!」
「そのためにはたくさん寝て、早く熱を下げないとな!」
「はい。うふふふ・・・」
水で冷たくした手拭いを近藤に替えてもらった惣次郎は、そう言っておとなしく布団の中に潜った。