Book【新選組 spin off】

□だるま
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「え?芹沢さんを?」

土方さんの言葉に僕は思わず問い返した。

「なんだ?ハトが豆鉄砲食らったみたいな顔して。」

土方さんはそんな僕の様子に呆れたように少し笑った。

「だいたい、お前だってこのままじゃダメだってわかってたんだろ?」
「そりゃあまぁ、そうですけど。」



芹沢 鴨・・・。

乱暴でいつも酔っぱらってて、気に入らないことがあるとすぐに手を上げる困った人だけど、僕は土方さんが思うほどこの人のこと悪い人だとは思わない。

ねぇ、土方さん。知ってる?

この間、八木家の葬儀があったでしょう。
で、僕たちも手伝ったじゃない?

そのときに、大人たちが忙しそうにしてるもんだから子供たちが退屈してたんですよ。
で、その子供たちが僕のところに来て

「遊ぼう」

って言うんです。
でもいくら僕でも、葬儀の手伝いに行ってるその席で隠れ鬼や鬼ごっこするほど馬鹿じゃないですからね。
まぁばれないようにっていうか、静かに遊んでやってたわけですよ。


で、そこにやってきたのが芹沢さん。

僕らは少なからずヒヤッとしましたよ、さすがにね。
だけど、そのときの芹沢さん、どうしたと思います?


退屈してる子供をかわるがわる膝に乗せて、その辺の紙にいろんなおもしろい絵をかき始めたんです。ダルマとかね。

これがなかなかどうしてうまいもんでね。子供たちも大喜びでした。
いくつかは持って帰ったんじゃないのかなぁ。
芹沢さんも満足そうに「持って行け」なんて言ってましたよ。

土方さん、土方さんはそんな芹沢さんの姿、知らないでしょう?

子供には優しかったんですよ、彼も。
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