Book【新選組 spin off】
□太陽とひまわり
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タン!・・・・・タタン!・・・はっ!
近藤が布団の中でふと目を開けた。夜はまだ明けておらず、あたりは暗い。
水でも飲みに行こうと布団を抜け出し、炊事場に向かう。
途中で向かいの道場に明かりが揺れるのに気付いて、近藤は不思議に思った。
「誰かいるのか・・・?」
念のための木刀を持って、近藤はそっと道場を覗き込んだ。
「・・・・、惣次郎か・・。」
そこには沖田惣次郎の姿があった。一人で型の稽古をしているようだ。
実戦重視の天然理心流ではあるが、当然型も存在している。惣次郎もその一つ一つを確実に身につけていっている。
つい先日、近藤はその最後の型『三捧之剣』を総司に教えた。
免許皆伝を目前にした門人に口伝で教えられる最終奥義だ。
当然、ほかの門人のいるところでは稽古できない。
惣次郎は他の人が寝ている間、飲食をしている間、遊んでいる間にこうして寸暇を惜しんで稽古していたのだった。