ゆめ
□眼を開いたらまた地獄
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狂い咲くように壊してみようか
平「……なんて、ね。」
『え?平門さん何か言いました?』
平「いや、何でもないよ。」
そうですか、と残りのワインを飲み干す名前。
今は、大きな任務が終わり、久しぶりに弐號艇に帰ってきた名前を平門が呼び出し、二人で夕食をとっている所だ。
話があるんだ。なんて、久しぶりに見る特有の作り笑いで言うものだから、名前はいつもみたいに少し切なくなって即答を返したのだ。
しかし食事が始まってもう二時間以上は経っている。"話"にはまだ触れる様子も無い。そうだ、私平門さんに呼ばれてそのままここに居るから、まだ自分の部屋にも帰ってないんだっけ。それに……與儀とツクモとイヴァ姉、花礫くん无ちゃんにも久しぶりに会いたいんだけどなぁ。
そんなことを考えていると、
平「名前、そんなに飲んで大丈夫なのか?」
平門さんの"話"を待つうちに、心配される程飲んでいた様だ。
『だって、この平門さんが用意してくれたワイン、すごく美味しくてつい』
平「そうか、それはよかった。でもあまり飲みすぎるなよ?」
そう、このワインは平門さんの"とっておき"なんだとか。
本当に気がふれる程いい香りで、心までも溶かされてしまいそうで。
「ちょっとトイレ行ってきますね。」
言って、立ち上がろうとした時だった。
――――ガシャンッ――
『あ……』
平「大丈夫か?やはり、少々飲みすぎたんじゃないのか」
立ち上がった拍子に揺れる視界、テーブルに置こうとしたワイングラスは手から滑り落ちた。
『すみません……今、片付け……っ……!?』
突然襲う強い頭痛と眠気。
たまらずソファに座ってしまう。
『……あ……れ……本当私、飲みすぎちゃったみたいですね……』
無理をするな、と平門さんは私の隣まで来て私を、
押 し 倒 し た 。
目の前には平門さんと白い天井。
視界が揺れる。ぐるぐるとした頭の中で、今起きている出来事の把握をしようとするが、だめだ、眠気に耐えるのにせいいっぱいで……。
平「私の"とっておき"のワインはどうだ?名前。」
盛られた。
そう理解する頃にはもう、私の意識は遠く。
『ひら、と……さ……』
まぶたを閉じる直前、平門の顔が近付いてくるのが見えた。
平「このままおやすみ、名前。」