短編

□どっち?
3ページ/7ページ

二年い組、川西左近です。
今日は、は組の時友四郎兵衛が、ぼくたちの部屋に遊びに来てるのですが……、


「いけ……だ…さぶろー……じ……っと」
「四郎兵衛、なんでぼくの名前をかいてるんだ?」
「二年生の中で、一番名前が簡単な人を探しているんだなぁ」


……は組のやることはよくわかりません。


「ふーん。じゃあ左近じゃないか?」
「えーと、かわ…にー…し…さ……こん!
本当なんだなぁ。ぼくは難しくて六文字なのに、
左近は簡単で四文字。左近ずるいよぉ」
「いや、ずるいって…。じゃあ久作は?」
「久作はー…、の…、の…、の?
……久作」
「なんだ?」
「久作の”の”って、点点点点?心?どっちか忘れちゃったんだなぁ」


あ、久作が固まった。というか、


「しろべー、選択肢一つたりないぞー」
「え?のせ、の”の”ってひらがなだっけ!?」
「なんでだよ!!」


三郎次ナイスツッコミだ。


「いいか、四郎兵衛。
おれの名前は、点点点点も心もつかない、上だけなの」
「えー物足りないよぉ」


四郎兵衛、そういう問題じゃないからね?
全くもう……。
すねた久作なだめるのたいへんなんだから。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ