短編

□初めての生活
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今日は本当に疲れた。
初めての授業とか、委員会ってのもあったからだと思う。
三木ヱ門が来るのを待ってるつもりだったんだけど、無理だ。
今日は宿題が無かったし、寝たい。
布団をひくのもめんどくさい。
ちょっとだけ、横になろう。


「ただいまー……」


委員会を終え、部屋に戻った三木ヱ門の目に入ったのは寝ている守一郎の姿。
帰って来た物音に気づかないくらいに熟睡している。


「守一郎、そのまま寝ると風邪ひくぞー」
「ぅん……」
「全く、一体どうしろって言うんだ」


だけど、今まで一人だった部屋に、帰ってくると人がいるってなんか嬉しいな。


初めての体験に口元が緩む。


「おい、三木ヱ門」


廊下からかかった声は滝夜叉丸のもの。
戸を開ける。


「なんだ」
「なんだって、守一郎……寝てるのか?」
「見てのとおりだ」
「ならば守一郎の歓迎会はまた後でだな。私がタカ丸さんに伝えよう」
「すまん」
「では、おやすみ」
「うん。おやすみ」


なんか、三木ヱ門と滝夜叉丸の声が聞こえる気がする。
けど、ごめん。目を開ける気にならないや。
なんだか心地良い。


「守一郎風邪ひくぞー。
……全く」


ふわりとかかったのは毛布か。


明日は一体どんな日になるのだろう。


そう考えたのもつかの間。
守一郎の意識は再び眠りに落ちていった。
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