短編

□一時間忍たままとめ 壱
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「うわー!?」
「あはは、ばーっか!」
「お前はいつもひっかかるな」
「全くもう。三郎ったら」
「うぅ……」


目の前で騒いでいるのは勘右衛門と三郎と雷蔵と八左ヱ門。
たくさんいた同級生も今ではこの四人だけだ。


「何やってるんだか」


思わず口元が綻ぶ。


五年間も共に過ごしてきた大切な四人だ。
だけど、だからこそ、考えてしまうことがある。


卒業して、忍びの仕事に就いて。
もし、その戦場で出会ってしまったら。


それは夢で見ることもある。
忍務が終わった時に思うことでもある。
ふとした時に思うことでもある


もし、そんなことが本当に起きてしまったら。


その不安を拭うことはできない。


だったら四人と仲良くしなくていいだろう。
その方が戦場で出会った時も躊躇いなく命を奪うことができるだろう、と。


「へーすけ!」
「何やってるのー?」
「手のかかるやつだな」
「早くこいよー!」


だけど、その度に救いだしてくれるのはこの四人なのだ。


抗えること無く、差し伸べられる手を取ってしまう。


何度も繰り返す。
それからは逃れることができない。
甘い毒のように。
自分を支配していく。


「ん、今行く!」
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