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□七つの大罪〜番外@〜
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「天下の立海もこんなものですか、あっけない」
一人の少年が静かに亡骸の側にたたずんでいた。
もともとは人であっただろう塊に穏やかに話しかける。
残忍な笑みを浮かべて。
「気づいていた方もいらしたようですが、『神の子』のあなたでさえも最後は情に瞳が曇ってしまった。本当に愚かなことです。結局『これ』の前ではあなたもただの人でしたね」
そしてもうひとつの亡骸に振り返る。
「あなたには感謝していますよ、丸井君。あなたは本当にいい操り人形だった。最後に依代にしようとした体まで食べてしまったのはいただけませんがねぇ」
血の海から、無造作にひとつのグラスを拾い上げ、血を払う。
「面倒ですが、背に腹は変えられませんからね」
いつの間にかグラスを満たしていた液体を血だまりにぶちまけた。
と、血は沸騰したように暴れだし、肉片は見る見る寄り集まって形をとりはじめた。
やがてすぐにそれは人の形をなし、意思を持って立ち上がった。
青年は満足げに微笑む。
「さて、行きましょうか。『丸井君』」
『それ』は踵を返した青年に従い、一度だけ背後を振り返って部屋を後にした。